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機械刺しゅう基礎講座vol.1 「道具を知る」レポート

5/26(木)に実施した機械刺しゅう基礎講座vol.1「道具を知る」のレポートです。

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ファブラボ・ベータ・馬車道(以下FLB)に置いている刺しゅうミシンをゴロゴロと動かして
会場であるYCCの3Fイベントホールへ移動させました。いつもちがって広い空間での講座です。
今回は当日申し込みもあり、12名の方にご参加いただきました。

まずは、講師である人見さんの自己紹介。
そのあと、さっそく本題であるミシンの基礎に話がうつります。
「縫う」ということはどういう仕組みになのかを「本縫い」と「環縫い」とを例にあげて説明していきます。

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次に機材を稼働して、近くで参加者の皆さんに見てもらいました。
稼働するその音や、速すぎで見えない針の動きに驚かれる方も!
FLBの持っているタジマのTWMX-C1201は、最大で1200RPMの回転数で針をうごかすことができます。
これは1分間に1200回針を動かしているということ!
手作業では叶わないスピードです。

続いて、他の機能をもった機械刺しゅう機を動画で見ました。
タジマの刺しゅうミシンは縫う部分(ヘッド)がいくつも横に連なっている大型の機械で、工場にあります。
TWMX-C1201は、そのヘッドを1つだけ取り出した単頭機と言われるシリーズの機械です。

ミシンというと、直線に縫うイメージがあるのですが動画で出てくるミシンたちはまるでダンスを踊るかのようにくるくる回転しなが縫い付けたり、針を左右に振りながら紐を縫いどめたり、スパンコール(業界ではシークインと呼ぶ)を配置して縫ったり、カッターで穴をあけた部分をかがって縫ったりと様々なことができることを知ります。

もちろん、機械ごとの特性(特殊なパーツを取り付ける)なのでこれが一つの機械ですべてできるわけではありません。機械の形やオプション機器はタジマのページが面白いのでぜひごらんください。
http://www.tajima.com/jp/

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さて、これらのミシンはどのように制御されているのか…
専用の刺しゅうソフトの説明が始まります。
PCソフトであれば、どうしても気になる「データの自動変換」機能。
デザイン画を自動変換する機能はありますが、刺しゅうはプリントと違いベタッとインクが載っているわけではなく「糸」で表現するため当然「縫い方(タタミやサテン)」「縫い幅」「縫い方向」「縫いの密度」で見え方が変わってきます。つまりデータの自動変換機能を使ったとしても、最適な表現になるとは限らないのです。そこで必要になるのが、糸や生地の知識やデータ作りの経験です。
素材の詳しい話は、次回6月の講座でしっかりと。

人見さんは、これまで作ってきたサンプルを例に様々な縫い方を解説していました。
今はPCソフトで作られている刺しゅうデータですが、昔は「パンチ」という方式で紙に穴をあけて
刺しゅうのデザインを機械が読み取って稼働していたそうです。
その名残で今も刺しゅう屋さんではデータのことをパンチと呼ぶそうです。

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ミシンにセットする糸も、昔は1色しかなかったので、多色を刺しゅうするときは1色目から2色目に変わる頃合いをみて1色目と2色目の糸を結んでいたとか。その見極めの力は相当の職人力ですよね…

国内の刺しゅうの生産地の話や、刺しゅうミシンの歴史を織り交ぜながら講座は進んでいきます。

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講座は、再度機材本体にフォーカスします。
参加者からトートバックや帽子に刺しゅうをするにはどうするの?と、質問がでてきました。
機材に元からセットされていたテーブルを外し、専用の刺しゅう枠を取り付けてそれぞれの刺しゅうのデモを行いました。

枠を取り替えるのは、実は手間なんです。
そういうわけで、多くの刺しゅう屋さんは自社が保有する枠でできる仕事をメインに受注をするため
発注の相談先を間違えると門前払いになることもあるとか…。
発注については、7月の講座でまたゆっくりと。

参加者の皆さんの質問を一部紹介します。

Q.他の刺しゅう機との違いは?
A.得意分野が異なります。厚くて固い素材へ縫うのが得意なメーカーもあれば、薄くて柔らかい素材を得意とするメーカーがあります。

Q.紙に縫えるの?
A.ミシンは、切り取り線のように紙に穴をあけてしまうので、和紙のように紙の繊維が絡んでいるものの方が縫いやすいです。
糸のテンションも大事です。ですが、加工費と紙の単価が合わないという懸念点もあります。

Q.ニットに縫うには?
A.専用の素材を使って固定して縫う方法があります。詳しくは次回に!

…と、道具を知った皆さんは「どんなことができるのか?」に興味深々です。

ミシンで縫える素材、縫えない素材って?
(なんで縫える/縫えないのか理由がわかります!)
糸の種類こんなにあるの?
(糸によって特徴があります!)
縫うための工夫?!
(こんな使い方があったなんて!)
など…機械刺しゅうで使われる素材を学びます。

紙やニットといった素材にどのようにアプローチすることができるのか、
次回vol.2は、予告タイトル(繊維)から変更し「素材を知る」です。

6/23(木)19:00-21:00 
参加費:3,240円(税込)
定員:20名

機械刺しゅう基礎講座vol.2「素材を知る」
参加申し込みフォーム
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